2010年6月23日水曜日

2010年参議院選挙前 各党マニフェストの林業分野比較

現在の参議院の議席順。
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■民主党
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2010/index.html#pdf
農林水産業
農林水産業を成長産業と位置付けて、従来の政策の抜本的な見直しに引き続き取り組みます。

農林漁業について製造業・小売業などとの融合(農林漁業の6次産業化)により生産物の価値を高めることで、農林漁業と農山漁村の再生を図ります。


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■自由民主党
http://www.jimin.jp/jimin/kouyaku/22_sensan/index.html

72 農林水産業の多面的機能を評価した 「日本型直接支払い」の創設

「多面的機能新法」の制定により、国土保全や集落機能の維持など農林水産業や農山漁村のコミュニティが果たしている多面的機能を正当に評価し、日本型直接支払いの仕組みを法制化します。その中で、農業における中山間地域直接支払いや農地・水・環境保全向上対策、林業における森林整備地域活動支援、水産業における離島漁業再生支援などの仕組みを抜本的に充実・強化します。 また、地域やNPOなどが参加して農業、加工、介護など「地域社会を維持する事業」に取り組む地域マネジメント法人の育成を推進します。


84 鳥獣被害対策の強化
全国で拡大している鳥獣被害に対し、2年前に制定した「鳥獣被害防止法」を活用し、鳥獣の種類や地域の特性に応じて自治体が行う有効な対策を強力に支援します。また、有害鳥獣に関する知識や捕獲方法などの普及に努めます。

85 国産木材の利用促進と「直接支払い制度」の創設
地球温暖化防止に大きく貢献する森林・林業を国家戦略として位置づけ、「森は国民全体で守る」ことを基本に、国産木材の自給率を大幅に向上させるため木材利用を促進します。
木造建築基準の見直し、瓦やイ草などの国産材料を使った安らぎのある和風住宅の普及、間伐や路網整備における森林所有者の負担軽減、緑の雇用や森林組合の充実・強化、財源確保のための森林環境税の創設、農地並みの相続税納税猶予制度の創設、違法伐採対策などに取り組むとともに、厳しい環境下におかれている森林経営を将来にわたり持続可能なものとするための直接支払い制度をつくります。


201 自由貿易への積極的取組み
現下の経済・金融危機の克服は、わが国を含む国際社会の喫緊の課題です。実体経済の悪化を食い止め、保護主義に断固として反対し、世界経済の安定・回復を確保することが必要です。 わが国は、経済・金融危機に対しては、国内経済対策を積極的に講じるとともに、国際金融機関の資金基盤強化やODAによるアジア支援策等で国際的なリーダーシップを発揮していきます。また、保護主義回避を各国に呼びかけるとともに、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結、経済連携協定や投資協定等の交渉とその活用に引き続き取り組んでいきます。農業交渉等については、各国の持つ多様な農業の共存や林・水産資源の持続的利用が可能となるルールの確立を目指します。


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■公明党
http://www.komei.or.jp/policy/various_policies/pdf/manifesto2010_a4.pdf

持続可能な林業の再生へ向けて
●年間55 万ha を目標に間伐の実施を推進し、製材・合板用の国産木材の消費拡大と農山村におけるバイオマス活用を推進します。
●定額助成による林道・作業道の路網整備を推進するとともに、高性能林業機械のリースによる利用拡大を推進します。
●森林所有者の負担なしで間伐を可能にする定額助成制度を普及するとともに、持続可能な森林経営をめざした提案型集約化施業を推進します。
※提案型集約化施業:複数の森林所有者に対して、森林組合が一体的に伐採などの施業を提案し実行すること。
●「緑の雇用」制度などの人材育成事業の充実を図り林業の担い手育成を支援します。

多面的機能を持つ森林を整備・保全
●森林の違法伐採等を防ぐため、適正に管理された森林から産出した木材に認証マークを付ける森林認証制度を国内外で拡大し、認証材の使用を促します。
●森林整備を支援するカーボン・オフセット(CO2排出の相殺)を推進します。
●膨大なCO2を排出している森林火災を防止するために、衛星情報の活用を含む、アジア・大洋州における防止体制や支援枠組みの導入を推進します。


全国で新たな事業活動を促進
●農商工連携や地域資源を活用した新商品の開発・販売促進への支援(百貨店における地域産品の販売スペースの設置、海外見本市に
おける出店・商談会開催など)を推進します。
また、農商工連携における林業分野の連携(国内材の活用と地域活性化)を強化します。

持続可能な林業の再生に向けて
●京都議定書の目標達成のために不可欠な森林による吸収量を確保するため、年間55 万ha を目標に間伐の実施を推進し、製材・合板用の国産木材の消費拡大と農山村におけるバイオマス活用を推進します。
●国産材の需要拡大に向け、「木づかいカーボンストック減税」(住宅に一定量の木材を使用した場合に税額控除)等を導入します。
また、国内クレジット制度と連動し、森林整備を支援するカーボン・オフセット(CO2排出の埋め合わせ)を推進します。
●木材の供給力を向上させるために、定額助成による林道・作業道の路網整備を推進するとともに、リース方式による高性能林業機械の利用拡大を推進します。
●森林所有者の負担なしで間伐を可能にする定額助成制度を普及するとともに、持続可能な森林経営をめざした提案型集約化施業を推進します。
※提案型集約化施業:複数の森林所有者に対して、森林組合が一体的に伐採などの施業を提案し実行すること
●効率的かつ多様な森林施業に精通したリーダーを育成するため、「緑の雇用」制度などの人材育成事業の充実を図り林業の担い手育成
を支援します。
●地球温暖化の防止や、水源のかん養、生物多様性の保全などの森林の多面的な機能を確保するため、複層林化や針広混交林化等を推進するとともに、再造林の促進を図ります。
●再生可能な有機性資源であるバイオマスの利用を総合的に推進するための環境を整備します。特に、年間2,000 万m3 に上る林地残材をバイオマス等で活用するため、木質ペレットなど木質バイオマス利用を促進します。

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■国民新党
http://www.kokumin.or.jp/seiken-seisaku2010/images/KokuminManifest.pdf
経済成長による財政健全化   景気回復に全力投球
6.農林水産業や 環境分野のビジネスを推進●起業や生産から流通・販売までを一体的に行う6次産業化(1次×2次×3次=6次産業)に代表される多様な流通制度や産直コーナー等での地産地消を促進します。第1次産業分野の生産法人に対する税率を見直し、内部留保率を高めて不作・不漁に対応します。●再生可能エネルギーや新エネルギー分野の取り組み、ベンチャー企業を積極的に支援し、新しい成長産業を創出してゆきます。

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■日本共産党
http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010_1/2010-6-19_sanin_seisaku_su.html

(3)農林漁業の担い手を育成し、後継者確保のために就業援助を強めます
多様な家族経営の維持を担い手対策の中心にすえ、農業を続けたい人すべてを応援します。地域農業の重要な担い手であり、高齢者・離農者などの農地や農作業を引き受けるなど、大規模農家や生産組織などが果たしている役割を正当に評価して、支援を強めます。

後継者をふくむ新規就農者への「月15万円を3年間」の支給を柱とする「新規就農者支援法」の制定、林業、漁業の新規就業者への支援制度の創設に取り組みます。農林漁業の新規就農者の研修や技術指導を引き受ける農家、漁業者、林業経営者や、農業生産法人や森林組合、漁協にたいする援助も強化します。他地域から移住しての就業希望者にたいし、農地や住宅の斡旋、低利資金の提供、技術・経営を身につけるための教育・研究機関の強化、就業しようとする人のための農地、林地、船などの確保に国の支援を進めます。



(7)山村の活性化と低炭素社会の実現にむけ林業・木材産業の再生をはかります
わが国の森林は、年間需要量に匹敵する成長量がありながら、木材の自給率は24%程度に過ぎません。森林・林業を再生するため、間伐助成の拡充と作業路網の整備によって健全な森づくりをすすめ、住宅への地元産の木材使用への補助、公共施設建設への地元産木材の使用などで国産材の需要を拡大し、地場産業を活性化します。間伐材や廃材を利用したバイオ燃料の生産と供給など森林資源を活用して、新たな仕事と収入を生み出します。


http://www.jcp.or.jp/seisaku/2010_1/sanin_bunya/2010-00-04.html
山村地域の基幹的産業として林業・木材産業の再生をはかります
わが国の森林面積は国土の3分の2を占め、国土や環境の保全、水資源の涵養など国民生活に不可欠な役割をはたしています。森林資源の総蓄積量は44億?を超え、毎年の樹木の成長量は年間の消費量に匹敵する約8000万?になっています。日本の森林は「育林の段階から利用の段階」を迎えているにもかかわらず、現状は、木材消費量の8割弱が輸入材です。これを転換し、地域経済と低炭素社会に不可欠な産業として、林業・木材産業を再生します。

 外材依存政策を転換する――林産物輸出国主導のWTO体制を改め、各国の自主権を尊重した林産物貿易、森林・林業政策を保障することを世界に提起します。

 住民参加による地域林業にとりくむ――全国一律の大型産地づくりをやめ、森林所有者や素材・木材産業、大工・工務店、地域住民などの総合的な力を結集し、地域の条件に即した安定的な生産・加工の供給体制の整備をすすめます。

 林道・作業道など生産基盤の整備をはかる――間伐の助成を強めるとともに境界の確定を促進し、生態系や環境保全に配慮した技術の確立と助成制度で、林道・作業道など生産基盤の充実をはかります。

 国産材の適切な利用をすすめる――公共建築や公共事業をはじめ、助成や税制上の優遇措置による国産材住宅の拡大、木材バイオマスの推進など、国産材の適切な利用を促進します。また、資源を無駄なく活用するため、路網整備などで効率的な収集の仕組みをつくり、バイオエタノールなど新たな利用技術の研究開発をすすめ、実用化にとりくみます。

 森林所有者に再造林できる価格を保障する――森林の公益的機能の発揮と木材の安定供給体制をつくるために、国産材の利用拡大と適切な取引価格の設定などで林家に再造林できる原木価格を保障できるようにします。

 森林組合など林業事業体への支援を強めます――森林組合や林業事業体が、地域の林業振興のために積極的な役割がはたせるよう、素材生産業などとも連携し、所有者に代って長期的な経営管理にとりくめるよう支援を強めます。

 林業就業者の計画的な育成と待遇改善をはかる――新規就業者が必要な知識や技能の習得がはかれるように研修体制の確立や受入事業体への支援など「緑の雇用担い手対策事業」を拡充します。また、労働条件や生活条件を改善し、安心して働ける環境をつくります。

 特用林産物の活用や都市との交流をすすめる――山菜・きのこなどの新しい特産品作りや森林資源を活用した都市との体験・交流など、複合経営で森林所有者の経営安定をはかります。

 国有林の持続的な経営管理にとりくむ――わが国最大の林業経営体として、「国民の共有財産」として実態を総点検し、技術者の育成確保をはかり、地域自治体・住民との連携、協同関係を確立し、持続的な経営管理にとりくみます。木材販売にあたっては大企業優先の低価格販売でなく、地域産業との結びつきを強め、適正価格での適切定量な販売に努めます。


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■新党改革
http://shintokaikaku.jp/wp-content/themes/shintokaikaku/pdf/shintokaikaku_manifest.pdf

●日本の農林水産業の競争力を再認識し、海外への積極攻勢、販路拡大、養殖の活用、林業ボランティアなどにより、更に競争力を高めて行きます。また、食糧安保、国土保全の観点からも、農林水産業を支援し、5 年から10 年程度の中期総合計画を策定致します。
農林水産業を黄金の基幹産業とし、輸出に貢献する産業として育成していきます。

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■社民党
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/images/manifesto10_2.pdf

1.ヒューマン・ニューディール(いのちとみどりの公共投資)で雇用を創出します
○高齢者や若者向けの公共賃貸住宅の整備、保育所や介護施設の建設・増床、学校や公共施設のエコ改修・太陽光化・耐震化、社会資本のバリアフリー化、自転車道の整備や歩道の拡幅、道路の段差解消、電線の地中化、開かずの踏切対策の推進、再生可能エネルギーによる発電推進のための送電線網のスマート・グリッドの構築、路面電車の整備、間伐や森林整備、河川や海浜の自然再生、藻場・干潟の整備など、将来につながる事業や、いずれ必要になる事業を前倒しで実施します。


地方分権1.真の分権・自治の推進
○危険な橋梁の補修や電線の地中化、都市部の緑化、森林における路網整備など、自治体によるきめこまやかなインフラ整備等を支援するための交付金を充実します。

6.人・まち・環境にやさしい交通
○これまでの運輸・交通行政や補助制度、各種事業法の見直しなど、運輸・交通行政の抜本的な棚卸しを行います。地方の生活バス路線や地方ローカル鉄道に対する財政支援を強化します。一般財源化された道路特定財源を、「クルマ社会」の負の側面を軽減する政策に充当することとし、環境対策・森林整備や鉄道整備、生活交通の維持、交通事故被害者対策等に振り向けます。


○農林水産予算は、2.45兆円と10年連続マイナスとなり、一般会計の2.7%(約40分の1)規模に落ち込んでいます。食料安定供給・環境保全・エネルギー自給の面からも、予算を3兆円規模に増やします。

2.森林、林業の再生
森林整備、森林吸収源・温暖化対策の推進
○国土の7割を占め、水を育み、国土を守り、自然環境との共生、生物多様性、資源の循環利用など多くの宝を持つ森林を再生し、持続可能な森林をつくります。天然生林や種の多様性をいかした適切な除間伐により里山を活性化し、空気や水などの環境保全、木材生産の増加につなげます。森林・林業再生プランを実行し、2020年に木材自給率50%などを実現します。

○森林整備の加速化と緑の担い手育成、森林吸収源3.8%の確保、地域材の利用拡大により、林業振興、山村の活性化をはかり、林業産出額4500億円、林業所得10万円を増額、林業就業者数4700人を増員します。

○地球温暖化防止・京都議定書で約束した森林吸収源▲3.8%(1300万炭素トン)の目標を達成するため、森林吸収源10カ年対策をはじめ、毎年20万haを追加した年55万ha(2012までの6年間で330万ha)の間伐など森林整備を加速化します。必要予算額である毎年度1330億円の追加的森林整備費を当初予算で確保します。

○森林整備の促進に向け、国が主導して地域の林業事業体の育成整備、不安定な林業労働者の賃金や安全・定住などの処遇改善、事業計画の前倒しをはかります。不在村の森林(約330万ha)は国が責任を持って買い上げ管理するなど適切な森林整備、所有者対策をすすめます。

○山村政策を強化します。中山間地域の多様な資源(水田、林野、自然環境など)を活用し、地域社会の活性化、農林複合の推進、上流と下流の連携を強め、第一次産業の振興をはかります。

○森林行政の独立法人化はやめ、国有林事業(764万haを所有)は、その公益的機能からも一般会計で事業を行い、林野庁による一元的・一体的管理を基本とした実施体制をめざします。

○50年先を見た国有林や民有林の長期展望をつくります。森林路網をきちんと整備し、高性能の機械による木材収穫、地域のフォレスター(森林官)による森林管理、森林学校による林業の担い手育成・実習、木材バイオマス利用など持続可能な森林をつくります。これらにより、木材産業及び山村・中山間地域経済を活性化し、財政、雇用、脱化石燃料に貢献します。

緑の雇用、林業の担い手の育成・確保
○長期的な林業専門家の育成に向けて、緑の雇用制度の拡充で1万人、緊急雇用対策で4万人の労働者を確保します。高校や大学での林学教育を充実し、技術者を養成、技術を持った林業就業者10万人(現在5万人)を確保します。不安定な林業労働者の賃金や安全・定住などの処遇改善をすすめます。

○森林の持つ多面的機能を維持し、持続可能な森林管理・木材生産を行う所有者や事業体に、直接支払制度を導入します。

木材利用の推進
○地域材や山に置かれた間伐材などを製品やエネルギーに有効活用し、木材自給率(08年は24%)を50%に向上させ、国内生産量(1873万 )、木材産出額(4450億円)の拡大をはかります。

○学校など木材校舎を増やし、公共施設での地域材利用を義務付け、木質バイオマスの利用を推進します。林業・林産業への投資を拡大します。木材の内装商品を増やし、地域での販売窓口をつくります。

○木材資源の利用促進に向けて、10年先の間伐作業団地の設定、林分など森林資源情報の正確な把握、路網インフラを整備します。

○ボイラーや暖房用の木質バイオマス(ペレット、チップ、薪)を普及するため、需要の開拓、原料の安定供給と管理、間伐材など森林バイオマスの収集・供給体制の確立など持続可能なバイオマス利用をすすめ、地域エネルギーの供給を通じた山林経営の安定、山村社会の再生をめざします。

○木材輸入大国である日本は、世界的な違法伐採や乱伐、農地開拓などによる森林減少と環境破壊を防止するため、違法な外国産材の流入規制・監視を強化し、国産材の利用を拡大します。


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■たちあがれ日本
http://www.tachiagare.jp/pdf/newsrelease_100617_2.pdf

環境税・寄付税制
・暫定税率を廃止し、環境税へ組替えます。エコ公共事業や水源地保護、山林対策、電線の地中化、学校の耐震事業の財源にします。
・寄付によって公を支える仕組みを拡大するため、大学・NPOなどへの寄付税制を大幅拡大します。

②自然共生型のエコ公共事業
・水源地でもある「森を守る」ために、地籍調査を完了させ、外国人土地法を制定します。また、環境税収を充当し、「森林防衛隊」の創設、農地並み相続税制度、買収防衛基金などを進めます。


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参議院選挙に向けて、各党マニフェストの林業分野を抜き出しました。
以下、個人的な印象。

民主党、国民新党のマニフェストがあっさりしすぎ。林業について全く書いていない。

社会党が数値目標を出すなど、かなり具体的。
「林業所得10万円を増額」はちょっと少ないのでは。

共産党は現行の政策の延長線上が多い。「林産物輸出国主導のWTO体制を改め」「林家に再造林できる原木価格を保障」あたりが特徴的。文字化けで?が挿入されているのがお粗末。

新党改革の「林業ボランティアなどにより、更に競争力を高めて行きます」は林業を知らなさすぎ。

たちあがれ日本は保守系らしく、森林買占めの防衛政策が特徴。しかし木材生産への言及が無い。

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