2009年12月10日木曜日

次世代への情報伝達とドイツの森林官制度

以前の記事には突っ込みがありましたので、修正しました。
勢いで書いた文章だったので、表現が荒かったようです。
夜に書いた文章を翌朝見ると恥ずかしいようなもので、少し寝かせてからアップしないと駄目ですね。



林業GPS徹底活用術」を読んだところ、自分の考えに近い事を書かれていました。


■74ページの奥三河ビジョンフォーラムの方
ベテラン職員は管轄内のことを詳細に記憶している。
しかし彼個人がいなくなってしまえば、すべて失われてしまう。
彼が動かなければ多くのことを判断できないとするならば、組織の事業効率が悪くなる。
少ない職員で多様なニーズに対応するためには、個人・担当を超えた森林情報の共有が不可欠。
数年で人が変わる行政担当、不在化する地主などとの連携を図るためにも重要。


■81ページの愛媛県の方
3年ごとに人事異動があるとすると、今年施業した情報を次の間伐で利用してもらうには10年後の担当者(3代後)に伝える必要がある。
一般の山で言い換えるなら曾孫の世代。容易なことではない。
自分が得た情報を10年後の担当者が情報として引き出すことができる。
自分だけが分かるのではなく、他の人も分かる、これが共有化。
重要なるのが情報を共有できる状態にすること。またその作業に時間を要しないこと。


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森林官の任期は約3年。
1森林事務所の管轄平均面積は約6069ha。
これだけの面積を1人の森林官が管理していますが、3年で人が入れ替わります。
新任者は林道の場所を覚え、転勤する地方によっては樹種を覚えるところから初めなくてはいけない。


将来を見据えた森林プランナーとして、次の森林官に情報を残していく必要があります。
どこの流域は何年後に間伐する予定で、そのためには作業道を来年から整備する。
手があいたときにそんな引継メモを作っていますが、40文字×40行の用紙で10枚以上ありました。
重複する事項もありますが、後任者にとっては情報は無いより有った方が良いはずです。
情報は要らないのなら読まなければいいが、無ければ読むことも出来ません。


異動で人変われば、その土地についての知識がリセットされてしまいます。
それで10年50年といった長期的スパンの林業経営ができるのでしょうか。
文章や書き込みのある図面、GPSの軌跡データなど、誰が見ても分かる共有情報として得た知識を残すべきではないのでしょうか。


ベテランがいなくなるので人員配置や新規採用を、という主張をする人がいます。
もっともな主張ですが、その人が途中で亡くなったら情報が途切れてしまいます。
ベテランの知識やノウハウは、文字や図面といった共有可能な情報として記録しておく必要があると思います。


御料林や営林区署など、場所によっては明治時代から国有林は施業を行ってきました。
昭和22年の林政統一以降だとしても、62年の歴史。
1人3年の任期としてざっと20代の森林官がいました。
各森林官の書いた引継ぎ書や当時の施業図が残っていれば、貴重な資料となったでしょう。


林業は50年100年といった年月のかかる仕事。
自分の任期だけではなく、将来の森林官に繋がる仕事をしていきたいです。



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ドイツの森林官制度が気になったので調べてみました。


http://www.nochuri.co.jp/skrepo/pdf/sr20081028.pdf
ドイツからみた日本の森林・林業の課題
2008年「森林組合トップセミナー」「ドイツ元森林官との意見交換会」の講演録


鵜野日出男の今週の本音2009
http://unohideoblog2009.seesaa.net/category/5946217-1.html


分権化時代における森林のレクリエーション機能への自治体による投資負担の現状
http://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/publish/bulletin/bull/115/06.pdf


ウッドマイルズ研究会 2009年度 > ドイツ林業視察会
http://woodmiles.net/cgi-2008/cgi-event/gallery.cgi?no=35
http://woodmiles.net/cgi-2008/cgi-event/data/upfile/35-86.pdf


何でもドイツが良いとは思いませんが、ドイツの森林官は希望しない限り何十年でも異動しないらしいです。


バーデン・ヴュルテンベルク州の場合、区画担当森林官は約1000人。
森林面積は136万ha。
ということは一人当たり管理面積は1360haでしょうか。
日本の林業普及指導員のような民有林へのアドバイス業務もするので、単純に日本と比較できないでしょうが、林業普及指導員や森林官は一人当たり何haが適正な管理面積なのでしょう?。
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アメリカなど他国の森林官制度についても知りたいので、詳しい方がいましたらリンク等を是非教えて下さい。



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