2009年12月13日日曜日

林野庁に入庁する人・興味のある人へのアドバイス

炎上する記事かもしれませんが、twitter的に要望があったので蔵出ししてみることにしました。


そろそろ年末モード。
職員調書も書きましたし、来年4月が近くなってきた感じがします。
新規採用者や林野庁に興味のある人向けに、準備しておきたいものや心構えについて書いてみました。
自分自身そんなに立派な人間では無いので突っ込みどころは多いと思いますが、あくまで私的なアドバイスとして書きます。



・運転免許(普通自動車・限定なし)
 官用車はマニュアル車が多く、オートマ限定は役に立たちません。
 時間のあるうちにマニュアルに限定解除しておきたい。



・自動車購入資金
 田舎では自動車は生活必需品。車が無い生活はありえません。
 4月に入ってすぐに自動車を買える資金を用意しておくか、今のうちに買っておいた方がよいでしょう。
 任意保険料の準備も忘れずに。若い人は保険料が高いです。
 個人的には車なんて5年で資産価値が半減する消耗品だから、中古でいいと思います。



・体力
 森林事務所は歩いて何ぼの商売。
 週5日とまでは言わないが、週3日ペースで山を5km歩ける体力は欲しいです。



・自炊能力
 コンビニが無い田舎で、毎日朝食と弁当を作れる自炊能力。
 体が資本の肉体労働なのだから、朝食は必ず食べたい。
 「朝飯食べていないんですよ」は「昨日2時間しか寝ていなくってさ」と語る中二病ぐらい恥ずかしいと思います。



・田舎で暮らしていける適応力
 コンビニ・幼稚園・ガソリンスタンドも無い集落に住む場合もあります。もちろん若い人は少ない。
 ISDNかもしれないし、ソフトバンクは通話不能かもしれません。
 そんな場所で精神的にめげない適応力、田舎の不便さを楽しむぐらいの気概が欲しいです。
 都会に住みたい人は林野庁は向いていません。
 自分は都会出身ですが、一度僻地に住んだら田舎暮らしに慣れました。住めば都。

・転勤・転居への適応力
 具体的な転勤先が決まるのが異動の2週間前。
 どこに住むのかそれまで分かりません。
 全国に局や署が約100箇所、森林事務所が約1000箇所あります。(3種は局内異動が基本ですが)
 3年ごとの転勤が仕事を辞めるまで続くのですから、転勤・転居に慣れるしかありません。
 実家から離れたくない人や引越しが嫌な人は、林野庁より地方自治体を受験したほうが良いでしょう。



・(パソコンが使える)
 今は使えなくても一ヶ月もすれば使えるようになると思うので、あわてて準備する必要ないと思います。
 エクセル、一太郎、(ワード)が基本的に使えれば問題ないです。
 ブラインドタッチやテンキー、電卓を見ないで使う能力は、社会人として無いよりあったほうが良いでしょう。
 田舎暮らしでの情報源としてパソコンとネット環境はプライベートでも欲しいですが、今時の若い人は携帯電話でも何とかなるかもしれません。



・眼鏡やコンタクトの人は、都会に住んでいるうちに現場用の予備眼鏡を作っておくとよいでしょう。
 毎日山に行っていると、レンズに傷がつくなどして眼鏡がすぐに消耗します。
 何かあった時に予備の眼鏡を作ろうにも、眼鏡屋さんまで車で数十分という場所もあります。



・旅行に行くなどして見聞を広める。
 人生でまとまった時間が取れるのは、学生時代と職が無くなった時。
 家でゴロゴロするのは、就職してからでも出来ます。
 4月まで時間があるのだから、積極的に動いて見聞を広めてほしい。
 行く場所や目的が決まらないのなら林業系のイベントに行くなり、近くの森林管理署や森林事務所を探して心構えをしておくのもよいのでは。



・親と話しておく
 親元を離れたら1年で1週間ぐらいしか顔を見られない場合もあるでしょう。
 40年間×1週間だと10か月分にしかなりません。
 職場に入ったら親ほどの年齢の同僚と仕事をするし、1,2種の人はそのうち年上の部下に指示を出すことになります。
 人生の先輩、サラリーマンの先輩として、親の話を聞いておいた方がよいのではないでしょうか。
 親孝行したいときに親はなし。



・向学心を忘れない
 就職は人生というスゴロクの上がりではありません。
 木材を売ったり苗を保育する事業系から、総務や会計まで仕事の幅は広く、どんな仕事をするか分かりません。
 就職してからもアンテナを高く持ち、向学心を忘れないで欲しいです。
 これから40年林業行政を職業としていくのだから、勤務中に暇があったら勉強しておきたい。
 何を勉強してよいか分からなければ、自分の10年20年後のポジションを先輩に聞いてみましょう。



・一人で抱え込まない
 一人森林官など、人と接する機会が少ない環境でいきなりメンタルヘルス状態になってしまうのは、本人にとっても周りにとっても困ったことです。
 異動によって仕事環境・生活環境が変われば、何とかなるケースも多いです。
 精神的につらいと思ったら、とりあえず上司に相談しましょう。
 組織の仕事なんて人が入れ替わってもできるオンリーワンの仕事ではないですし、あなたは一人ではありません。



・チェーンソーは使えない
 国家公務員1,2,3種で採用された人は、チェーンソーや刈払機は使えません。
 署によっては振動機械ではない電動刈払い機や丸ノコすら使えません。
 バリバリと木を倒したい人は、森林組合などの事業体に行った方がよいでしょう。



林野庁に興味のある学生にとっては、こんな駄文でもネット上に情報がある事に意味があると思います。
学校の先輩などツテがあって現役職員やOBの話を聞ける人は良いでしょうが、何となく林業に興味があるぐらいの学生にとって、林野庁という職場の情報が少ないと思います。自分の学生時代はそうでした。
就職してからこんなはずじゃなかった、と20代で転職してしまうのは、本人にとっても組織にとっても不幸な事だと思います。



霞ヶ関の事は良く分からないので、こちらを紹介。
明るい!?国家公務員のページ
霞ヶ関を目指す方へ 霞ヶ関の新人はこんなもん
http://www.ops.dti.ne.jp/~makinoh2/official/shinjin1.html

役所と旅行の日記
http://d.hatena.ne.jp/suwamino/20060115/p1


最終的な勤務先・住居が決まるのは3月15日あたり。
それまで色々な不安があると思いますが、この文章が少しでも助けになればと思います。



この記事に突っ込みを入れたい人は、自分でブログやサイトでも立ち上げて情報発信してはどうでしょうか。
ネット普及以前に比べ、情報発信の敷居は格段に下がりました。
無料ブログサービスでアカウントを作り、タイトルに林野庁か森林官を入れる。
記事を10数本書いてトラックバックを飛ばせば、1ヶ月ぐらいで検索で引っかかるようになります。
情報のソースは複数あったほうが良いと思います。



1 件のコメント:

伊勢湾 さんのコメント...

Twitterで要望したものです。
大変興味深く読ませていただきました。
>国家公務員1,2,3種で採用された人は、チェーンソーや刈払機は使えない。
これは正直驚きました。
と同時に、なるほどなぁと思える事例もあれこれ。
眼鏡が消耗するという話は身につまされました。
とりあえず、落ちにくく、傷つきにくい眼鏡が必須かと。
少なくとも、デザインで選ぶべきではないですねw
兎にも角にも、林業関係者としてはグッと来るもんがあります。
本当にありがとうごさいました。